「押し掛け女柔道家の誕生」
この三週間、ココちゃんの機嫌がすこぶる悪く、学校から帰ってきても外に遊びに出る事もなく部屋にこもりながら、夜も晩御飯中にお兄ちゃんの颯太君と喧嘩をしたり、食べ終わるとすぐに部屋に戻ってしまいます。
お父さんは心配をして、「ココは何処か体調が悪いのではないだろうか?」とお母さんに相談しました。
しかしお母さんには、ココちゃんの不機嫌な理由は解かっていました。
小さい頃から本当に双子のように一緒に育ってきたヒロ君が今、柔道に夢中で学校から帰るとすぐに道着に着替え道場に飛んでいきます。
一人残されたココちゃんは、今までいつも一緒だったヒロ君がいないと一人で何をやっても楽しくなく、一人疎外感がつのっていました。
ココちゃんの家はパン屋さんなのですが、忙しい時には、いつもヒロ君のお祖母ちゃんがココちゃんの面倒を見てくれていました。
だからいつもココちゃんとヒロ君は一緒でした。
お母さんもココちゃんの気持ちが痛いほど良く解かっているので、どうすればよいのか悩んでいました。
お父さんは、「ココにも何か習わせたらどうだろうか?」言いました。
お母さんもココちゃんは何に興味をもつだろうか?など考えている矢先に突然ココちゃんが「お母さん、ココも柔道が習いたい」と言い出しました。
ココちゃんのお父さんは若い頃はバンドをしていたし、お兄ちゃんはギターを習っています。
そしてお母さんは学生時代はバレーボールをしていました。
梅木家には格闘技をする人は誰もいません。
お父さんもお母さんもココちゃんの言葉にビックリしました。
でも、ココちゃんの意思は硬く、何を話してもガンと譲りませんでした。
翌日、ヒロ君のお父さんにお願いをして、樫木先生を紹介してもらい日曜日にココちゃんとお父さん、お母さんと三人で樫木先生を訪ねました。
樫木先生は、なぜかココちゃんの事を知っていて「ハハン、この子が大翔の相棒か、勝気な顔をしとる。名前は何と言う?」聞き、「松田心愛、7歳です。」とハキハキ答えると
「ハハハ・・・元気じゃ、この子は強くなるぞ!いいか心愛、約束じゃあ・・・これからは挨拶を忘れるな。それと嘘はつくな。そして感謝の気持ちを忘れるな。出来るか?」と聞きました。
ココちゃんは、「ハイ、出来ます。」と元気に答えました。
「ハハハ・・・・この子は強くなるぞ!いい子だ。」と言ってくれました。
本日、押し掛け女柔道家が誕生しました。
つづく・・・・・
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